5月14日は母の日。わが家では一日早い13日の土曜日に娘と私と犬のノエルと、つくば市にあるケーキ屋さんへ行った。チョコレートの使い方が見事だと評判の店「ラ・リヴィエ・ドゥ・サーブル」である。娘は、家族の誕生日や母の日やクリスマスやお正月など特別の日には必ず買いにゆくケーキ屋さんである。
■母の日の句
1・母の日や娘好みのプレゼント あらきみほ『ガレの壺』平成元年刊
(ははのひや むすめごのみの プレゼント)
私が最初に詠んだ「母の日」の句である。平成元年作であるから、娘は大学を卒業したばかりだったと思う。この時のプレゼントが何であったのか覚えてはいないが、「娘好み」であったに違いない。開封しないまま大切に戸棚にしまってある「あのワイン」だったかもしれない。開けそびれていたので、逆に何時開けようかと迷っている。
2・母の日の赤い花びらケーキかな あらきみほ 令和5年
(ははのひの あかいはなびら ケーキかな)
そうだった! あの頃から34年経っている。今年は、つくばのケーキ屋さん「ラ・リヴィエ・ドゥ・サーブル」に一緒に買いに行ったのだが、どのケーキを買ったのか訊くのも見るのも食べるのもわが家に帰ってからにしよう。コーヒーも淹れたいし・・お気に入りのケーキ皿で食べたいし・・と、犬のノエルと車でじっと待っていた。
家に戻るや・・娘がケーキボックスを開けた!
「おーっ!」
柔らかなまあるい複雑な形をしたケーキには、見事に薄くのばした・・大きなチョコレートの花びらがのっていた!
「わーおっ!」
あったかい指でつまむと、チョコレートの花びらは・・すぐにも溶けそう!
急いで口に入れた・・! 甘さが口にひろがった・・!
おっと! 隣の部屋でテレビに見入っているお父さんにも分けてあげなくては・・!
3・母の日や娘にしてもらふことばかり あらきみほ 令和5年
(ははのひや こにしてもらう ことばかり)
自分の部屋にもどった私は、仕事机の前に一段高くして置いてある仏壇の母の写真に向かって手を合わせながら心の中で問うた。
今の私は、娘にしてあげられることは少なくなってしまったなあ!
本当に・・娘にしてもらふことばかりになってしまっているなあ!
ますます歳を重ねてゆく父であり母であり・・になってゆくなあ!