第三百八夜 土居めぐみちゃんの「けいろうの日」の句

 今日9月15日は、平成14年までは「老人の日」と呼ばれ、日本の国民の祝日の一つであった。その後、平成15年からは、「敬老の日」として9月の第3月曜日となった。今年の敬老の日は、土日、敬老の日、秋分の日と4連休となる人が多い。
 まだコロナ禍も収まってはいないので、何をしようか。
 
 高齢化となり、何歳から「老人」と呼ぶのか、呼ばれる側にとっても、なかなかむつかしい。市町村によっては集まりがあったり、お祝い金を支給したりすることもあるそうだが、まちまちのようだ。
 私の母が、80歳の年の敬老の日には、市から3万円のお祝い金を頂いた。その日、母は嬉しそうにして私たち夫婦と孫たちを連れてレストランでご馳走してくれた。
 
 さて、わが夫婦も後期高齢者となった。運転はいつまで出来るだろうか、吟行もだんだん遠出はしなくなっているが、俳句は心身が元気であるかぎり、老いの妙薬なので続けることができそうだ。
 
 今宵は、「敬老の日」「老人の日」の作品を見ていこう。
 
  けいろうの日おもいついてのかたたたき 2年 土居めぐみ

 金子兜太監修『子ども俳句歳時記』中の秋の作品にある。
 今日は敬老の日、お母さんはご馳走を作っているけれど、めぐみさんも何ができるだろうと考えた。そうだ、いつも肩が凝って痛いと言っているおばあちゃんへ「かたたたき」をしてあげよう。前から考えていた敬老の日のプレゼントではなく、おもいついた、ところがすばらしい。
 突然に孫のめぐみちゃんが近寄ってきて、「おばあちゃん、わたしの敬老の日のプレゼントは、かたたたきよ。」と、小学2年生のやわらかい両手の拳がおばあちゃんの肩をたたきはじめた。
 
 息子がまだ幼稚園のころだ。肩凝り症の私は、よく背中に乗って足踏みをしてもらった。「100まで大きな声で数えてね。」と私。小さな息子は70くらいから怪しくなる。「79のつぎはなんだっけ?」「80よ。」と教えると、また元気よく81、82とつづける。89のところで「つぎはなんだっけ?」
 そこで、肩凝りの酷い私は、「60よ。」と言ってしまう。つまり、かなり延々と100には到達しない。だが、そろそろ言わねば。「ありがとう! やっと、なおったよ!」と、ギュッと抱きしめた。
 息子には内緒で、私には宝物の思い出である。
 
 めぐみちゃんも、きっと素晴らしい宝物の思い出を、おばあちゃんにプレゼントしたのだと思った。
 
 今度は、大人の「敬老の日」の俳句を見てみよう。

  敬老の日の座布団の寿の一字  山野辺歩考 『ホトトギス 新歳時記』

 敬老の日の祝賀会では、主賓の座布団に「寿」の一字が染め抜かれていた。おめでたい日の座布団である。それにしても俳人はご高齢の方でも矍鑠としていらっしゃる。
 山野辺歩考さんの作品に〈木流しの腰に巻きたる藤の蔓〉がある。