つい3年前までは、マスクをする時は風邪にかかった時か花粉症の季節の頃か、歯の治療中の間くらいだった。中国の湖北省武漢でコウモリ媒体による新型コロナウィルスの感染者が、最初に発症したとされた日から令和4年の8日で、2年目となる。しかしコロナ菌はどんどん変異して、オミクロン株などと呼ばれている。
それ以来、マスクは外出では欠かせなくなった。口紅はマスクに付いてしまうので口紅を付ける機会は減ってしまったが、お洒落なマスクもある。
デザイナーであり、友人である外崎里奈さんとの出合いからもう30年になる。大学時代の友人ヒロコ・ムトーさんたちと山形県蔵王にある陶芸家の岡崎隆雄さんの「不忘窯」にご一緒して以来の友人である。
里奈さんが上着やブラウスに合わせて作ってくれるマスクは、格好いい! アグレッシブで、いざ、東京へ! いざデートへ! ・・という気持ちにさせてくれる。
コロナ禍で、茨城県守谷市から東京へは行かなくなった私に、里奈さんは、「いいのよ! スーパーの買物でも、お洒落して行くと気分が変わるから!」と言ってくれる。
大事に仕舞っておいた、黒いマスク、刺繍入りのマスク、レース付きのマスク・・コロナの今こそ、お洒落のチャンスかも!
今宵は、「花粉症」の句を紹介してみよう。
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やや大に断ち杉花粉症マスク 椎名 彰 『蝸牛 新歳時記』
(ややだいにたち すぎかふんしょうマスク) しいな・あきら
私は花粉症になったことはないので、正直、理解できないところもある。友人が目の縁を真っ赤にして、立て続けに嚔(くしゃみ)を「クシャン、クシャン、ハクション!」とするのを見ていると、本当に辛いのだということが伝わってくる。
掲句のマスクは、「花粉症マスク」として売られている。開けてみると、普通のマスクよりも「やや大に」、大き目の寸法に断裁されて仕上がっている、商品名「花粉症マスク」であった。
「やや大に断ち」の表現がじつに上手い! 空中に舞う花粉をしっかり受け止めてくれそうなマスクの商品名である。
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花粉症まつ只中の誕生日 田代葉子 『蝸牛 新歳時記』
(かふんしょう まっただなかの たんじょうび) たしろ・ようこ
花粉症とは、2月上旬頃にはじまるスギ花粉の飛散を吸ってしまうことで起こる症状である。3月下旬までつづき、その後にヒノキ花粉の飛散もはじまるという。
花粉症は、生まれつきアレルギー反応を起こしやすい体質の人がかかりやすいといわれる。
掲句は、花粉症の体質をもっている田代葉子さん。それなのに、毎年かかる花粉症の真っ只中に、葉子さんの誕生日があるというのだ。くしゃみをしつつ食べるご馳走は、ちょっと悲しい。
「花粉症」の季語は、まだ新しい。筆者の夫が作った出版社蝸牛社で、『蝸牛 新歳時記』を出版した。編集委員は石寒太、伊藤通明、深見けん二、山崎ひさをの各先生方。選句委員は俳句結社の主宰の13人、選句協力は15人。俳句の季語は、我が国の長い伝統によって生み出されたもので、時代とともに変遷しながら息づいているという考えの下で決定した。従来の季寄せより、一層現代生活に身近なものとして編集されている。
「花粉症」の季語は、そうした考えの下に、新しく入れたものであった。