第九百十四夜 高浜虚子の「向日葵」の句

 昨夜は、茨城県南の守谷市でも最高気温36℃という、今年になって一番の数字が出た。買物も行かなかったが、こんな時、夫の畑の大量のポテトや胡瓜が大いに役立ってくれている。
 
 今朝、黒ラブのノエルが元気がないように感じたけど、犬は喋らないし、じっと耐えていたのだろう。このところフードを減らしているし、おやつも多くは食べさせないようにしている。

 ノエルが入院したのは昨年の夏であった。原因は布地が好きでハンカチやら布巾やら大きな手拭いまで目を盗んでは飲み込んでしまっていたのだから・・。
 動物病院に駆け込む度に、先生や看護婦さんからも「またですか!」と・・言われた。
 今年は病気で動物病院に駆け込んだことはまだない!
 いい子になあれ!

 日中の最高気温は35℃であった。外に出ると日差しは強いが風が吹いていた。肌に爽やかであった。
  
 今宵は、「向日葵」の作品を見てみよう。

  向日葵が好きで狂ひて死にし画家 高浜虚子 『六百句』  
 (ひまわりが すきでくるいて しにしがか) たかはま・きょし

 前書に、「昭和17年8月8日。初めて実朝祭を修す。」とある。

 頼朝祭とは、源実朝公の誕生日に鎌倉で執り行うお祭で、昭和17年より始められた。実朝公の遺徳をしのぶとともに、文芸に優れた公にちなみ、短歌会が催される。
 2022年の今年は夏越祭が、8月6日から9日まで、立秋祭、実朝祭を合わせたぼんぼり祭として行われるという。
 
 源実朝の遺徳をしのぶ実朝祭のあった日に、虚子はなぜ画家のゴッホを思い出したのだろうか。向日葵の大きく育った頃の盛夏の8月であればこそとも言える。
 しかし、そんな事は全く関係なく、虚子はあらゆる句を瞬時に生み出す俳人である。
 ゴッホの向日葵の絵は、真夏のうねりがある。その激しいタッチを狂人であるがゆえと捉えることが、狂人のごときタッチの激しさと捉えることとは、別ものではないだろうか。
 
 虚子は、掲句を季題「向日葵」として詠んだ。

  ひまわりにテスト満点おしえたよ 小1 わたなべ えみ
 (ひまわりに テストまんてん おしえたよ) 
    『名句もかなわない子ども俳句 170選』あらきみほ編著

 ヒマワリは高さ2メートルほどの茎に大きな花をつけていて、その大きな顔みたいな花は、ちょっとうつむいてみえた。
 その日、テストで満点をとったノンちゃんは、なんだかうれしくて、お母さんより先に、帰り道に咲いている大きなヒマワリに、満点をとったことをおしえてしまった。
 「そうかい、よかったね。」と、ヒマワリはにっこりうなずいてくれた。
 
 時間通りに家に帰ってこない子も、こんな風な寄り道をして、自然との語らいがあるのだと思ったら、ほっこりしてくる。