「あしたの風」第四夜 2023年箱根駅伝の句

 娘は仕事に、夫は犬のノエルと散歩に出かけた。三年かけた「千夜千句」が終え、次は「あしたの風」にしようと、タイトルは決めたものの、路線がはっきり決まっているわけではない。
 「あしたの風」も「千夜千句」と同様、私の好きな俳人であったり好きな作品を紹介することになるだろう。さらに、「好き」から、未来である「あしたの風」を感じさせる「何か・・!」を探りあてることができるかどうかであると思う・・!・・?

 「千夜千句」の一回は1500~多くて2000文字ほどであった。一回の長さはそれほどではないけれど、千夜を終えてざっと数えただけでも170万という字数になっている。内容は、高浜虚子の晩年の弟子であり「花鳥来」主宰の深見けん二先生を一筋に、私自身が俳句の道を歩んできた中で感じたことが多い。
 けん二先生は、あらきみほ著『図説・俳句』を刊行した折に、次のような推薦文を書いてくださったことがある。一部を抜粋してみる。

 「みほさんは、虚子を学んでも虚子の周りの俳人たちに興味がゆきます。さらに、虚子と違う俳句観を持つ作家にも興味を抱きます。
 そのことにより、本書が・子規・虚子を中心としても、公平に、俯瞰的に、子規以後の現代俳句の流れを書くことに成功したと思います。」と。
 こうした私の性癖が「あしたの風」の中で、あらきみほの作品の特色として上手く生きたらと願っている。
 
 毎年わくわくしてテレビの前で観戦している箱根駅伝も昨日終えた。今年の「あしたの風」は可能な限り、あらきみほの作りたての作品で書いてみようと思う。
 
 第四夜は、「箱根駅伝」の句からスタートすることにしよう。

■駅伝1月2日
 1・駅伝や左の頬に二日の陽  あらきみほ
  (えきでんや ひだりのほおに ふつかのひ)

 箱根駅伝のスタートは、1月2日、東京大手町の読売新聞社前を朝8時にスタートする。この東京箱根間往復大学駅伝競走は、関東学生陸上競技連盟が主催し、読売新聞社が共催する競技会なのである。
 冬の朝の8時は、夜が明けて1時間ほどの太陽の位置はそれほど高くはない。太陽は頭上よりも低く、走者たちの横顔の頬あたりを輝かせている。
 箱根駅伝の出場者は21チーム。前年大会でシード権を獲得した上位10高と、10月の予選会を通過した10校、および関東学生連合を加えた21チームが出場する。

 2・駅伝の走者の先の二日富士  みほ  
  (えきでんの そうしゃのさきの ふつかふじ)
  
 戸塚中継所を抜けるとコースは3区になる。10キロを過ぎた辺りで茅ヶ崎海岸に出る・・湘南大橋から正面に富士山を見ながらの4区・・酒匂橋を過ぎるといよいよ小田原中継所を目指す。 

 3・駅伝の箱根の山は気を入れよ  みほ 
  (えきでんの はこねのやまは きをいれよ)
 
 小田原中継所を越えると、いよいよ箱根の山登りとなる。私の記憶違いでなければ、青学の神野大地が物凄い力を発揮して、当時の登りを制した。同じ青山学院の同期の仲間との行き交うメールも凄まじいものであった。神野大地(かみの・だいち)の名前が、まさに走るために生まれてきたようで凄い。
 「山の神」と呼ばれていたのは知っていたが、「山の妖精」とも呼ばれていたようだ。

■駅伝1月3日
 4・駅伝の天下の険の箱根山  みほ    
(えきでんの てんかのけんの はこねやま)

 唄にもある、「箱根の山は 天下の険」を取り入れた。歩いて登ったことはないけれど、小刻みにカーブが続くので車で走っても、ハンドル捌きもなかなかの難所である。
 下りの方が、足捌き、大地を踏みしめる足の負担は大きいだろうな、と観ていた。 

 5・箱根駅伝三位ぞ母校青学大  
 (はこねえきでん さんいぞぼこう あおがくだい)

 「悔しくも楽しい箱根駅伝であった。」と、青学大のメンバーのスピーチの後の、原晋監督のスピーチは締めくくられていた。

 今年の優勝チーム駒澤大学の大八木監督が中継車からの応援で声掛けした言葉は、こうであった。
 「信じているよー! 白バイさん、見ながら行けー!」
 なんて素敵な声掛けであろうか。一つは走者に安心感を与える! もう一つは「白バイさん」と、先導してくれている白バイの警察官に対して「さん」付けであったことだ。
 
 互いに感謝の気持ちがあってこそのスポーツマンシップなのであった。

 

 

 
 
 

 

 自分のことだけではないが、それでもかなり自己をさらけ出し尽くしたように感じている。

 2023年箱根駅伝が終わって少しほっとした一日を、次に向かうための考える日にしよう!